電池もセンサーも要らない──hit-airのエアバッグは20〜35kgで開く
39万回見ていただいた動画の補足です。着るエアバッグの作動は、電子制御ではありません。ワイヤーが一定の力で引かれると、バネが針を突き、ボンベに穴が開く。その機械式の仕組みと、唯一の弱点を公式資料から整理します。
「バイクにもエアバッグがある」
車のように、センサーが衝撃を検知して電気で開く——そう想像された方が多いのではないでしょうか。動画では、この装備を扱いました。
補足したいのは、その作動の仕組みです。
電池もセンサーも使っていません。 順番に見ていきましょう。
バイクと体をワイヤーでつなぐ
hit-airの公式説明を引用します。
ジャケット側のコネクター(メス部)とバイクにセットした伸縮ワイヤー(オス部)を接合して使用します
乗る前に、自分とバイクをワイヤーでつなぎます。
そして、こうなります。
通常約20kg~35kg程度で伸縮ワイヤーをひっぱる力によりキーボールが抜けて
一定の距離がはなれた瞬間に作動し、炭酸ガスを気室内に送り込みます
転倒して体がバイクから離れると、ワイヤーが引っ張られて栓が抜ける。 それだけです。
バネが針を突く
ガスが出る仕組みも、機械そのものです。
キーボックスからキーボールが抜けると、圧縮バネが針と連動し、カートリッジボンベの封板に穴を開けて、ボンベ内のガスを瞬時に各気室に送り込みます
バネが針を押し出し、ボンベの封を破る。
電子部品は関与していません。電池切れも、センサーの誤作動も、ソフトウェアの不具合も起こりようがない。
機械式であることの意味
バイクは、雨に濡れ、真夏の直射日光にさらされ、常に振動しています。 電子機器にとっては、かなり過酷な環境です。
そこで確実に動くことを最優先すると、機械式は非常に理にかなった選択になります。 何年も使わず、たった一度だけ、確実に動いてほしい装備です。
20〜35kgという数字の意味
作動に必要な力が約20〜35kgとされています。この数字が、この装備の性格を決めています。
降りるときにうっかりワイヤーを外し忘れて歩き出せば、当然作動します。 これは製品の欠陥ではなく、そういう仕組みです。
逆にいえば、その程度の力で確実に抜けるということでもあります。転倒時に体が投げ出されれば、20〜35kgは容易に超えます。
唯一にして最大の弱点
ここが、いちばんお伝えしたい部分です。
一度作動(使用)したカートリッジボンベは使用できません
一回使ったら、ボンベを交換しないと次は開きません。
そして、これが意味することは重いものです。
- 転倒した。エアバッグが開いた。助かった
- その日はまだツーリングの途中である
- 交換用ボンベを持っていなければ、そこから先は、ただのジャケット
予備のボンベを積んでいるかどうかで、その後の安全が変わります。
シート下やタンクバッグに1本入れておくだけです。開いた場所で交換すれば、その日のうちに機能が戻ります。
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hit-air 交換用カートリッジボンベ
容量(30cc / 50cc / 60cc など)が製品ごとに決まっています。ご自身のベストの指定容量を、取扱説明書か本体の表示で必ず確認してから選んでください。容量が違うと正しく作動しません。
価格・在庫・適合は変わります。購入前に販売ページでご確認ください。
保護される場所
公式の記述では、腹部・胸部にあるカートリッジボンベおよびキーボックスの背面部分に保護が施されているとされています。
一般に、この種の製品が守る範囲として挙げられるのは首・胸・背中・腰です。
プロテクターとの違いは、ここにあります。
- プロテクターは、当たった一点の衝撃を分散します
- エアバッグは、体の周囲に空間を作り、当たり方そのものを変えます
特に首は、通常のプロテクターではほぼ守れない部位です。転倒時に首が過度に曲がることを、膨らんだ気室が物理的に妨げる。 ここがエアバッグ特有の役割だといえます。
どちらが優れているかではなく、守る仕組みが違うということになります。
買う前に確認しておくこと
- バイク側にワイヤーを固定する場所があるか。 車種によって取り回しが変わります
- 降りるたびに外す運用に耐えられるか。 コンビニに寄るたびに着脱します
- 予備ボンベの入手経路と価格
- 有効期限や点検の要否。 製品ごとに指定があります
- 本当に着続けられるか。 どんな装備も、着ていなければ意味がありません
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hit-air エアバッグベスト
サイズとモデル(MLV2-C / RS-1 など)で品番が分かれます。プロテクターと違い、体との密着具合が作動後の効き方に関わります。可能であれば実店舗で試着してからの購入をおすすめします。
価格・在庫・適合は変わります。購入前に販売ページでご確認ください。
この記事の立ち位置
動画は60秒の尺の都合で、仕組みの意外さに絞って構成しています。 ここでは、公式の記述から確認できた範囲を補足しています。 製品ごとに仕様・作動荷重・保護範囲は異なります。購入前に、必ず該当製品の説明をご確認ください。
出典
引用元
- hit-air(無限電光株式会社)公式 製品マニュアル「機能と構造」(ジャケット側のコネクターとバイクにセットした伸縮ワイヤーを接合して使用/通常約20kg〜35kg程度で伸縮ワイヤーをひっぱる力によりキーボールが抜ける/一定の距離がはなれた瞬間に作動し、炭酸ガスを気室内に送り込む/圧縮バネが針と連動し、カートリッジボンベの封板に穴を開けて、ボンベ内のガスを瞬時に各気室に送り込む/最大限に膨らむまでにも衝撃を緩和する効果/腹部・胸部にあるカートリッジボンベおよびキーボックスの背面部分に保護/一度作動したカートリッジボンベは使用できません):hit-air.com
確認できていないこと
- 展開までの秒数。上記の公式マニュアルには「瞬時に」とあるのみで、具体的な秒数の記載はありません
- 保護部位として挙げた「首・胸・背中・腰」は、この種の製品について一般に説明される範囲です。製品ごとに異なります
- 交換用ボンベの価格。「数千円程度」は流通している情報で、公式の価格表では確認していません
本記事のチェックポイント
- 作動は機械式。電池もセンサーも使いません
- バイクと体をワイヤーでつなぎ、約20〜35kgで引かれると栓が抜けます
- 圧縮バネが針を押し、ボンベの封を破る。それだけの構造です
- 一度使ったボンベは再使用できません。 予備の携行を強くおすすめします
- プロテクターは衝撃を分散し、エアバッグは体の周りに空間を作る。役割が違います
- 首は、通常のプロテクターではほぼ守れない部位です
