Elegant Gentle RiderElegant Gentle RiderMISTER CLEAN — NOTES

バイクの技術と歴史を、一次情報にあたって確かめる記事を書いています

電池もセンサーも要らない──hit-airのエアバッグは20〜35kgで開く

着るエアバッグの作動は、電子制御ではありません。ワイヤーが一定の力で引かれると、バネが針を突き、ボンベに穴が開く。その機械式の仕組みと、唯一の弱点を公式資料から整理します。

「バイクにもエアバッグがある」

車のように、センサーが衝撃を検知して電気で開く——そう想像された方が多いのではないでしょうか。

この記事で確かめたいのは、その作動の仕組みです。

電池もセンサーも使っていません。 順番に見ていきましょう。

バイクと体をワイヤーでつなぐ

hit-airの公式説明を引用します。

ジャケット側のコネクター(メス部)とバイクにセットした伸縮ワイヤー(オス部)を接合して使用します

乗る前に、自分とバイクをワイヤーでつなぎます。

そして、こうなります。

通常約20kg~35kg程度で伸縮ワイヤーをひっぱる力によりキーボールが抜けて

一定の距離がはなれた瞬間に作動し、炭酸ガスを気室内に送り込みます

転倒して体がバイクから離れると、ワイヤーが引っ張られて栓が抜ける。 それだけです。

エアバッグベストの裾から伸びるコイル状のワイヤーが、バイクのシート横のフレームに接続されている様子
乗る前に、このコイルワイヤーでベストとバイクをつなぎます。これが作動のすべての起点です

作図:Mister Clean NOTES(生成AIによる作例。特定メーカーの製品ではありません)

バネが針を突く

ガスが出る仕組みも、機械そのものです。

キーボックスからキーボールが抜けると、圧縮バネが針と連動し、カートリッジボンベの封板に穴を開けて、ボンベ内のガスを瞬時に各気室に送り込みます

バネが針を押し出し、ボンベの封を破る。

電子部品は関与していません。電池切れも、センサーの誤作動も、ソフトウェアの不具合も起こりようがない。

hit-airエアバッグの機械式作動を4段階で示した図。ワイヤーが引かれ、キーボールが抜け、バネが針を押し、ボンベの封板が破れてガスが気室へ送られる
①ワイヤー ②キーボール ③バネと針 ④ガス放出。最初から最後まで機械仕掛けで、電気を使う場面がありません

機械式であることの意味

バイクは、雨に濡れ、真夏の直射日光にさらされ、常に振動しています。 電子機器にとっては、かなり過酷な環境です。

そこで確実に動くことを最優先すると、機械式は非常に理にかなった選択になります。 何年も使わず、たった一度だけ、確実に動いてほしい装備です。

20〜35kgという数字の意味

作動に必要な力が約20〜35kgとされています。この数字が、この装備の性格を決めています。

降りるときにうっかりワイヤーを外し忘れて歩き出せば、当然作動します。 これは製品の欠陥ではなく、そういう仕組みです。

逆にいえば、その程度の力で確実に抜けるということでもあります。転倒時に体が投げ出されれば、20〜35kgは容易に超えます。

唯一にして最大の弱点

ここが、いちばんお伝えしたい部分です。

一度作動(使用)したカートリッジボンベは使用できません

一回使ったら、ボンベを交換しないと次は開きません。

そして、これが意味することは重いものです。

予備のボンベを積んでいるかどうかで、その後の安全が変わります。

シート下やタンクバッグに1本入れておくだけです。開いた場所で交換すれば、その日のうちに機能が戻ります。

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hit-air 交換用カートリッジボンベ

容量(30cc / 50cc / 60cc など)が製品ごとに決まっています。ご自身のベストの指定容量を、取扱説明書か本体の表示で必ず確認してから選んでください。容量が違うと正しく作動しません。

価格・在庫・適合は変わります。購入前に販売ページでご確認ください。

保護される場所

公式の記述では、腹部・胸部にあるカートリッジボンベおよびキーボックスの背面部分に保護が施されているとされています。

一般に、この種の製品が守る範囲として挙げられるのは首・胸・背中・腰です。

プロテクターとの違いは、ここにあります。

プロテクターとエアバッグの守り方の違い。プロテクターは当たった一点の衝撃を面で分散し、エアバッグは体の周囲に空間を作って当たり方そのものを変える
プロテクターは力を面に広げて逃がし、エアバッグは体の周りに空間を作ります。優劣ではなく、守る仕組みが違います

特に首は、通常のプロテクターではほぼ守れない部位です。転倒時に首が過度に曲がることを、膨らんだ気室が物理的に妨げる。 ここがエアバッグ特有の役割だといえます。

どちらが優れているかではなく、守る仕組みが違うということになります。

買う前に確認しておくこと

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hit-air エアバッグベスト

サイズとモデル(MLV2-C / RS-1 など)で品番が分かれます。プロテクターと違い、体との密着具合が作動後の効き方に関わります。可能であれば実店舗で試着してからの購入をおすすめします。

価格・在庫・適合は変わります。購入前に販売ページでご確認ください。

コメント欄から

動画には100件を超えるコメントをいただきました。繰り返し出ていた疑問に、この記事の範囲でお答えします。

視聴者コメント

外し忘れたときにうっかり膨らませてまうんちゃうか心配でしたが、まったく問題ありませんでした!

心配は正しくて、実際に作動はし得ます。 約20〜35kgで引かれれば栓が抜ける——それがこの装備の仕組みだからです。ただ、この方が「問題なかった」と書かれている通り、降車時にワイヤーを外す動作は数日で体が覚える、という声が実際の使用者から寄せられているのは心強い情報です。

視聴者コメント

ぶつかった瞬間にエアバッグ膨らむと尚いいんだけどな。衝撃(加速度?)センサーで反応して膨らむとかね

コメント欄でも指摘があった通り、近年はセンサーで転倒を検知して展開する電子制御式の製品も登場しています。ただ、この記事で扱ったワイヤー式には、電池切れもセンサーの誤作動も起こりようがないという機械式ならではの確実さがあります。雨・直射日光・振動という環境で「たった一度だけ、確実に動いてほしい」装備であることを考えると、どちらを選ぶかは確実性と検知の速さのどちらを取るかという選択になります。電子制御式の各製品の詳細は、この記事では確認できていません。

視聴者コメント

10年程使ったら中の空気室が風化してボロボロになった。壊れた状態を知らずに使い続けるのは危険です。

実際に長年使った方にしか書けない、重要な報告です。 気室は樹脂製である以上、経年劣化は避けられません。何年で交換すべきかの公式な指定は製品ごとに異なり、この記事では確認できていませんが、「開くかどうかは開くまで分からない」装備だからこそ、定期的な点検と、古くなったら買い替える判断が必要になります。

この記事で確かめた範囲

60秒の動画では、仕組みの意外さまでしか触れられませんでした。 この記事では、公式の記述から確認できた範囲を、確認できた範囲で書いています。 製品ごとに仕様・作動荷重・保護範囲は異なります。購入前に、必ず該当製品の説明をご確認ください。

出典

引用元

  • hit-air(無限電光株式会社)公式 製品マニュアル「機能と構造」(ジャケット側のコネクターとバイクにセットした伸縮ワイヤーを接合して使用/通常約20kg〜35kg程度で伸縮ワイヤーをひっぱる力によりキーボールが抜ける/一定の距離がはなれた瞬間に作動し、炭酸ガスを気室内に送り込む/圧縮バネが針と連動し、カートリッジボンベの封板に穴を開けて、ボンベ内のガスを瞬時に各気室に送り込む/最大限に膨らむまでにも衝撃を緩和する効果/腹部・胸部にあるカートリッジボンベおよびキーボックスの背面部分に保護/一度作動したカートリッジボンベは使用できません):hit-air.com

確認できていないこと

  • 展開までの秒数。上記の公式マニュアルには「瞬時に」とあるのみで、具体的な秒数の記載はありません
  • 保護部位として挙げた「首・胸・背中・腰」は、この種の製品について一般に説明される範囲です。製品ごとに異なります
  • 交換用ボンベの価格。「数千円程度」は流通している情報で、公式の価格表では確認していません

注記

  • 本文の実写風写真は生成AIによる作例です。特定メーカーの製品を写したものではありません

本記事のチェックポイント

  • 作動は機械式。電池もセンサーも使いません
  • バイクと体をワイヤーでつなぎ、約20〜35kgで引かれると栓が抜けます
  • 圧縮バネが針を押し、ボンベの封を破る。それだけの構造です
  • 一度使ったボンベは再使用できません。 予備の携行を強くおすすめします
  • プロテクターは衝撃を分散し、エアバッグは体の周りに空間を作る。役割が違います
  • 首は、通常のプロテクターではほぼ守れない部位です

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