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YouTube Mister Clean の動画を、出典つきで深掘りするノートです

249.42ccを6気筒に割る──ホンダRC166が選んだ回転数

72万回見ていただいた動画の補足です。250ccを6気筒にしたRC166は、18,000rpmで60PS以上を出していました。なぜそこまで回す必要があったのか、ホンダ公式の諸元と当時のレース事情から整理します。

「250ccで6気筒」

数字だけ聞くと、意味が入ってこないかもしれません。1気筒あたり約41ccです。原付の半分以下の容積を、6つ並べている。

動画では、その異常さを軸に構成しました。ここでは、なぜそうする必要があったのかを補足します。

ホンダ公式に残る諸元は、こうなっています。

順番に見ていきましょう。

相手は2ストロークだった

まず、当時の状況です。ホンダ公式の説明にこうあります。

2ストロークマシンが主流となる中、それでも4ストロークにこだわったHondaは、エンジンのさらなる高回転化でその波に抗おうと奮闘

ここが出発点です。

2ストロークは、クランクが1回転するごとに1回燃焼します。4ストロークは2回転で1回同じ排気量・同じ回転数なら、2ストロークは倍の回数だけ爆発しているわけです。

4ストロークが同じ土俵で戦うには、回転数を上げるしかない。 燃焼の回数で負けているなら、回す速さで取り返す。理屈としてはそれだけです。

そこで「6気筒」になる

では、なぜ気筒を増やすと回せるのか。

エンジンの回転数を上げると、ピストンが上下する速度が上がります。この速度が高すぎると、部品が保ちません。ここに上限があります。

ところが、同じ排気量を細かく割ると、1つあたりのピストンの移動距離(ストローク)が短くできる。 移動距離が短ければ、同じ回転数でもピストンの速度は低く済むわけです。

250ccを6つに割る=1気筒41cc=ストロークを極端に短くできる=18,000rpmまで回せる。

「6気筒にしたら速くなった」のではありません。18,000rpm回すために、6気筒でなければならなかった。 順番が逆です。

この記事の立ち位置

動画は60秒の尺の都合で、構造の異常さに絞って構成しています。 ここでは、そうする必要があった理由をホンダ公式の記述から補足しています。

7段変速と、2.36kgm

諸元の中で見落とされがちなのが、トルクの数値です。

2.36kgm。 現代の250ccが20〜24N・m(およそ2.0〜2.4kgm)程度であることを考えると、数字としては大きくありません。

つまりRC166は、トルクで押すエンジンではない。 60PSという出力は、小さな力を、とにかく高い回転数で稼ぐことで成立しています。

だからこそ、7段変速が必要になります。

力の出る回転域が狭いエンジンは、そこから外れると一気に遅くなる。 ギアの段数を増やして、常に美味しい回転数に留め続けるしかありません。7段という数字は、そのエンジンの狭さの裏返しだといえます。

そして車重は112kg現代の原付二種より軽い車体に、このエンジンが載っていたことになります。

1966年に何が起きたか

戦績も公式に記録されています。

1966年シーズンで、マイク・ヘイルウッド選手が出場した10戦すべてで優勝。1967年も2年連続でチャンピオンを獲得

出た全部で勝っています。

2ストロークの時代が来ることは、当時すでに見えていました。それが分かっていて、なお4ストロークで、しかも6気筒で、正面から勝ちにいった。

RC166が語り継がれているのは、エンジンが凄いからというだけではないと思います。引き際が見えている勝負に、全力で答えを出したという部分が、いまも人を惹きつけているのではないでしょうか。

出典

引用元

  • Honda公式「Honda World Grand Prix 800勝の軌跡」RC166(249.42cc/4サイクル並列6気筒DOHC4バルブ・空冷/over 60PS・18,000rpm/2.36kgm・17,000rpm/7段変速/112kg/2ストロークが主流となる中、4ストロークにこだわり高回転化で対抗/1966年に出場10戦すべて優勝、1967年も連続チャンピオン):honda.co.jp

注記

  • ストロークを短くすると高回転化しやすいという説明は、内燃機関の一般的な原理に基づく解説です。RC166のボア・ストローク値そのものは、公式資料で確認できていません。

本記事のチェックポイント

  • 249.42ccを6気筒。 1気筒あたり約41cc
  • over 60PS/18,000rpm。 車重は112kg
  • 6気筒にしたのは、18,000rpm回すためにストロークを短くする必要があったから
  • 最大トルクは2.36kgm。力ではなく回転数で出力を作っています
  • 7段変速は、力の出る回転域が狭いことの裏返し
  • 1966年、出場10戦すべてで優勝

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