スポークホイールにチューブが必要な理由と、外すときの条件
41万回見ていただいた動画の補足です。スポークホイールをチューブレス化するキットがありますが、すべてのホイールでできるわけではありません。なぜチューブが必要なのか、外せる条件は何かを整理します。
「スポークホイールは、チューブが入っている」
理由を考えたことがある方は、そう多くないかもしれません。動画では、そこをチューブレス化する話を扱いました。
補足したいのは、なぜチューブが必要なのかと、外していい場合と、いけない場合の線引きです。ここを知らずに手を出すと、危ない部類の改造になります。
そもそも、なぜチューブが要るのか
スポークホイールの構造を思い浮かべてください。
リム(タイヤがはまる輪)に、スポークを留めるための穴が空いています。 ニップルという部品がその穴を通り、スポークを引っ張って張力をかけている。
この穴が、貫通しています。
チューブレスタイヤは、タイヤとリムだけで空気を密閉する方式です。リムに穴が空いていれば、当然そこから漏れます。だからスポークホイールには、空気を溜める袋であるチューブが必要になるわけです。
キャストホイール(鋳造の一体型)にチューブが要らないのは、穴が無いから。それだけの違いです。
70年代中盤以前、国産バイクはすべてチューブタイヤを採用していた。何故なら、ほぼすべてのモデルが、スポークホイール車だったからだ
チューブレス化キットが何をしているか
やっていることは単純です。穴を塞いでいます。
丸く切り抜かれたブチル系テープをスポークニップルの上から貼り込む
繊維入りで強い梱包テープをリムの内側、ニップル面外周に2周ほど巻き付けた
ニップル1つずつにシールを貼り、その上からリムの内周を帯で巻く。
理屈としては分かりやすい。ですが、空気圧がかかった状態で、走行中の熱と振動に何年も耐えなければならないという条件がつきます。貼り方の丁寧さが、そのまま安全性になる部分です。
ここが、いちばん大事です
すべてのスポークホイールでできるわけではありません。
すべてのスポークホイール車が改造可能なわけではないが、やってみるだけの価値はある
アルミリムでも、リムやスポークのコンディションが良くないときや、サビが発生するスチール製リムでは、チューブレス化はNGだそう
スチールリムは対象外と考えてください。
なぜサビがあると駄目なのか
ここは、少し踏み込んで説明します。
チューブレスで空気が漏れないのは、タイヤのビード(縁)が、リムの内側にぴったり密着しているからです。その接触面が、唯一の封になります。
サビが出ると、こうなります。
- サビの凹凸が、密着を妨げる
- サビを削り落とすと、その分だけ凹む。凹めばやはり漏れる
- サビは進行する。 今日塞げても、来年また出てきます
塞ぐ側の面が信用できないわけです。だから最初から対象外になります。
判断の基準
やる・やらないを決めるための軸を並べておきます。
- リムの素材 — アルミのワイドリムがベースなら可能性があります。スチールは不可
- リムとスポークの状態 — 腐食、打痕、振れ。少しでも怪しければ見送る
- 誰が施工するか — 自分でやるなら、失敗が空気漏れとして走行中に出ることを覚悟する必要があります
- 元に戻せるか — チューブを入れ直せば戻せますが、貼ったシールの除去は手間です
そして、これは書いておかなければなりません。
この改造は、メーカーが想定していない状態にすることです。 純正でチューブレスのスポークホイールを持つ車種もありますが、それはリムそのものが最初からチューブレス用に設計されているもので、後付けのキットとは別物です。
そもそも、何のためにやるのか
利点を整理しておきます。
- パンクしたときに、一気に空気が抜けにくい。 チューブは穴が開くと破裂的に抜けますが、チューブレスは徐々に抜けます
- パンク修理が現場でできる。 チューブは外さないと直せませんが、チューブレスなら差し込むタイプの修理材が使えます
- チューブの分だけ軽くなり、発熱も減る
「ツーリング先でのパンクが怖い」という動機なら、理にかなった改造だといえます。逆に、見た目や軽量化だけが目的なら、リスクに見合うかを考え直す価値があるのではないでしょうか。
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OUTEX クリア-チューブレスキット
このキットは車種ごとに専用品が設定されています。汎用品ではありません。ご自身の車種・年式・ホイールサイズに適合する品番を必ず確認してください。スチールリムやサビのあるリムには使えません。施工に不安がある場合は、実績のある販売店にご相談ください。
価格・在庫・適合は変わります。購入前に販売ページでご確認ください。
この記事の立ち位置
動画は60秒の尺の都合で、チューブレス化できるという事実に絞って構成しています。 ここでは、その条件と限界を補足しています。作業を推奨するものではありません。 判断に迷う場合は、施工実績のある販売店にご相談ください。
出典
引用元
- Webikeプラス「スポークホイールでも『チューブレスタイヤ』を組み込める?」(70年代中盤以前、国産バイクはすべてチューブタイヤ/ほぼすべてがスポークホイール車だったため/すべてのスポークホイール車が改造可能なわけではない/アルミワイドリムがベースならチューブレスタイヤ化は可能/アルミリムでもリムやスポークのコンディションが良くないとき、サビが発生するスチール製リムではNG/丸く切り抜かれたブチル系テープをスポークニップルの上から貼り込む/繊維入りの梱包テープをリム内側のニップル面外周に2周ほど巻き付ける):news.webike.net
確認できていないこと
- 各キットメーカーの公式な適合条件・保証範囲。製品ごとに条件が異なります
- チューブレス化した状態での、法規上および保険上の扱い
- 純正でチューブレススポークホイールを採用している車種の一覧
注記
- サビが密着を妨げる仕組み、チューブレスの利点についての説明は、一般的な解説に基づくものです
本記事のチェックポイント
- スポークホイールにチューブが要るのは、リムのニップル穴が貫通しているから
- キットがやっているのは、ニップルにシールを貼り、リム内周を帯で巻くこと
- スチールリムは対象外。 サビは密着を妨げ、削れば凹み、しかも進行します
- 可能性があるのはアルミのワイドリムがベースの場合
- 後付けキットと、純正のチューブレススポークホイールは別物です
- 動機が「ツーリング先のパンク対策」なら理にかなっています
