バーエンドウェイトは振動を消していない──メーカーがそう書いている
60万回見ていただいた動画の補足です。ハンドルの端に付ける重り。あれが何をしているのか、メーカー自身が「振動自体は無くなっていない」と説明しています。仕組みと、買う前に測っておくべき寸法をまとめます。
「ハンドルの先に付いてる、あの棒みたいなやつ」
飾りだと思っていた方もいるのではないでしょうか。動画では、その正体を扱いました。
補足したいのは、あれが実際に何をしているのかです。しかも、なかなか身も蓋もない話になります。
メーカーの製品説明に、こう書かれています。
これまでのウエイトタイプのバーエンドは、微振動を大きな振れに変換することで振動を緩和。振動自体は無くなっていない。
振動は消えていない。 手に伝わる形を変えているだけだ、と作っている側が書いているわけです。順番に見ていきましょう。
なぜ手が痺れるのか
まず前提から。
エンジンや路面からの振動がハンドルに伝わり不快感、疲労へとつながる。
エンジンは、内部で爆発を繰り返しています。滑らかに回っているように見えて、細かく震え続けている。 それが車体を通ってハンドルに届き、最後にグリップから手のひらに入ってきます。
そして厄介なのは、振動には周波数があるということです。
- 細かく速い震え(高い周波数)は、痺れとして感じる
- ゆっくり大きい揺れ(低い周波数)は、振れとして感じる
同じエネルギーでも、どちらの形で手に来るかで、疲れ方がまったく違う。 ここが今回の話の核心です。
重りが変えているのは「形」
重りを付けると何が起きるか。
ものは、重いほど動きにくくなります。 ハンドルの先に重りを足すと、その部分は細かく速くは震えられなくなる。代わりに、ゆっくり大きく揺れるようになります。
これが、メーカーの言う「微振動を大きな振れに変換する」の中身です。
エネルギーの総量は減っていません。 ただ、手が痛くなる高い周波数の成分が減り、比較的耐えられる低い周波数に移る。 だから「効いた」と感じるわけです。
つまり、こういうことです
バーエンドウェイトは、振動を吸収する部品ではありません。 振動の出方を変える部品です。 「重くしたのに全然変わらない」という場合、変換先の周波数が、 たまたま自分の手に合っていないことがあり得ます。
吸収する方式もある
では、本当に吸収する製品は無いのか。あります。考え方が違います。
エフェックスの「VIBEX」というハンドルバーウエイトの説明では、こうなっています。
ハンドル内部にゴムマウントされたバランサーシャフト自体が振動することにより、ハンドルの振動を吸収&抑制する
ハンドルの中に、別の重りをゴムで浮かせて入れておく。
ハンドルが震えると、中の重りはゴムを介しているので、少し遅れて動きます。 ハンドルが右に行くとき、中の重りはまだ左にいる。この「ずれ」が、互いを打ち消し合う。
これはダイナミックダンパーと呼ばれる、機械では古くからある手法です。ビルの制振装置も、原理は同じものが使われています。
端に重りを足すのと、中に重りを浮かせるのとでは、やっていることがまるで違うわけです。
買う前に、これだけは測ってください
ここが実務的にいちばん大事なところです。
VIBEXの適合条件に、こう書かれています。
装着にはハンドル内奥行155mmの空間が必要
ハンドルの内側に、15.5cmの深さが要る。
グリップの内側にスイッチボックスの配線が通っていたり、ハンドルが途中で絞られていたりすると、そもそも入りません。 買ってから気づくと、返品もしづらい部品です。
注文する前に、細い棒か結束バンドをハンドルの穴に差し込んで、どこまで入るか測ってください。 これだけで防げます。
参考までに、同製品の仕様です。
| エンドウエイト | シャフト部 | 総重量(1本) | |
|---|---|---|---|
| Type ST | 102g | 148g | 250g |
| Type GT | 250g | 148g | 398g |
素材はステンレス材の削り出しにPVD処理です。
そしてもうひとつ、販売ページを見て気づいた重要な点があります。
この製品は、ハンドルの内径ごとに品番が分かれています。
- アルミハンドル(内径14)用
- スチールハンドル(内径18〜19)用
奥行き155mmだけでなく、内径も合っていないと入りません。 内径は、グリップを外してハンドルの端を覗けば分かります。ノギスがあれば確実ですが、無ければ取扱説明書か車種のパーツリストで確認できます。
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エフェックス VIBEX ハンドルバーウェイト
ハンドル内径(14 / 18〜19)とタイプ(ST / GT)で品番が分かれます。奥行き155mmの空間が必要です。ご自身のハンドルを測ってから選んでください。
価格・在庫・適合は変わります。購入前に販売ページでご確認ください。
選ぶときの考え方
順位をつけるより、軸を持ったほうが選びやすいと思います。
- 痺れが「細かく速い」と感じる → 重りを足す方式でも変化を感じやすい
- 重りを足したが変わらなかった → 吸収する方式(ダイナミックダンパー)を検討する価値があります
- ハンドルの中に空間が無い → グリップ側(ゲル入りグリップなど)で対策する方向へ
- 単気筒・二気筒・旧車に乗っている → そもそも振動が大きいので、複数の対策を重ねる前提で考える
「振動が消える」と期待して買うと、たいてい肩透かしになります。 出方が変わる部品だと分かったうえで選ぶと、判断を誤りにくいのではないでしょうか。
ハンドルの中に空間が無い場合
奥行きが足りない、内径が合わない、配線が通っている——そういう車体もあります。その場合は、手が触れている側、つまりグリップで対策する方向になります。
ゲルを仕込んだグリップは、手のひらに届く振動を、グリップ自体が吸収して減らすという考え方の製品です。バーエンドのように振動の出方を変えるのではなく、最後の接点で受け止めるぶん、体感としては分かりやすい部類だといえます。
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デイトナ PROGRIP 耐振ゲル グリップ(エンド貫通タイプ)
ハンドル径φ22.2用・長さ120mmが一般的です。ご自身の車両の径と長さ、スロットル側の仕様(貫通/非貫通)を確認してから選んでください。専用のグリップボンドが別途必要です。
価格・在庫・適合は変わります。購入前に販売ページでご確認ください。
出典
引用元
- PLOT/EFFEX 公式「ハンドルバーウエイト VIBEX」(エンジンや路面からの振動がハンドルに伝わり不快感、疲労へとつながる/これまでのウエイトタイプは微振動を大きな振れに変換することで振動を緩和。振動自体は無くなっていない/ハンドル内部にゴムマウントされたバランサーシャフト自体が振動することで吸収・抑制/ステンレス材削り出し+PVD処理/Type ST 総重量250g・9,900円/Type GT 総重量398g・10,450円/装着にはハンドル内奥行155mmの空間が必要):plotonline.com
注記
- ダイナミックダンパーの原理についての説明は、機械工学の一般的な解説に基づくものです
- 価格・仕様は掲載時点のものです。購入前に販売ページで最新の情報をご確認ください
本記事のチェックポイント
- メーカー自身が「振動自体は無くなっていない」と書いています
- 重りを足す方式は、微振動を大きな振れに変換しているだけ
- 吸収する方式は、ハンドルの中でゴムに浮かせた重りが逆位相で動く(ダイナミックダンパー)
- 買う前にハンドル内側の奥行きを測る。 155mm必要な製品があります
- 「消える」ではなく「出方が変わる」。ここを理解して選ぶと失敗しません
